結膜炎と副鼻腔炎(小児)

スポンサード リンク

小児の結膜炎と副鼻腔炎の関係

 
小児においては結膜炎と副鼻腔炎の起炎菌(原因菌)は同一の場合が多い

細菌性結膜炎に罹患するピークは、0~9歳(3歳以下が多い)と、50歳以上とされています。また、成人と小児の細菌性結膜炎の起炎菌は異なります。

 

結膜炎の起炎菌
  • 小児:インフルエンザ菌・黄色ブドウ球菌・肺炎球菌・モラクセラ・カタラーリス
  • 成人:コリネバクテリウム・表皮ブドウ球菌・レンサ球菌・アクネ菌

小児の副鼻腔炎の3大起炎菌は、インフルエンザ菌、肺炎球菌、モラクセラ・カタラーリスであり、細菌性結膜炎の起炎菌上位4位に含まれています。

 

小児において結膜炎と副鼻腔炎は密接に関係しているのです。

 

副鼻腔炎から結膜炎に至る原因

 

21名の同一患者の結膜から採取した眼脂(めやに)と、中耳貯留液からそれぞれ得られたインフルエンザ菌を、パルスフィールドゲル電気泳動(pulsed-field gel electrophoresis、PFGE)にて確認した所、全く同一の菌株であったとの報告があります。

 

結膜と中耳は直接1つの管でつながっていないことは確認されています。中耳炎においては、鼻腔に存在する細菌が耳管を通して中耳に送られ、中耳炎に発展します。

 

鼻腔と同じ菌株をもつ細菌が中耳と結膜に存在することから、何らかの場所からそれぞれ結膜や中耳腔に送り込まれると考えられます。

 

結膜-鼻涙管-鼻腔-耳管-中耳と間接的ではあるものの、連続した空間が存在しており、鼻腔から粘質性の鼻汁に含まれる細菌の一部が鼻涙管を通して、結膜への感染が原因とされています。

 

小児の結膜炎と副鼻腔炎の裏付け

 

副鼻腔炎の起炎菌であるインフルエンザ菌と肺炎球菌が結膜と副鼻腔炎で検出され、鼻腔内と眼脂の中の細菌が同一遺伝子型であると証明できれば、結膜炎の起炎菌は鼻腔からのものと判断できます。

 

和歌山県立医科大学の耳鼻咽喉科および開業医にて同一患者・同一日に採取された鼻汁と眼脂の起炎菌培養同定を行った結果、

 

鼻汁
  • インフルエンザ菌40.7%
  • 肺炎球菌30.3%
  • モラクセラ・カタラーリス28.4%

 

眼脂
  • インフルエンザ菌58.2%
  • 肺炎球菌27.3%
  • モラクセラ・カタラーリス13.4%

 

同一症例の鼻汁と眼脂から分離された起炎菌のうち、インフルエンザ菌と肺炎球菌においてPFGEを施行、2つの菌におけるPFGEのパターンの一致率を調査した結果、インフルエンザ菌では48検体中46検体と95%で菌株が一致。肺炎球菌は31検体中29検体の93.5%で一致。

 

したがって、小児の結膜炎においては、副鼻腔炎と同一の菌が結膜炎を引き起こしている可能性が高いという結論に至ってます。

 
スポンサード リンク
page top