副鼻腔炎 マクロライド療法

スポンサード リンク

マクロライド療法とは?

 
慢性副鼻腔炎治療における薬物療法

マクロライド系抗菌薬を少量で長期間(3ヶ月)内服する治療法です。

 

もともとマクロライド療法は日本やアジアの地域に多いびまん性凡細気管支炎と呼ばれる難治性の気道感染症に対する治療法でしたが、1984年にびまん性汎細気管支炎に伴い発症する副鼻腔炎に効果が認められ、2007年には日本耳鼻科学会が作成した「副鼻腔炎診療の手引き」薬物治療の1つとされました。

 

現在では蓄膿症(慢性副鼻腔炎)の薬物治療において代表的な療法です。

 

副鼻腔炎マクロライド療法 特徴と効果

 
マクロライド療法 特徴

抗生物質にはペニシリン系、セフェム系、テトラサイクリン系などありますが、マクロライド系はこれら抗生物質と異なり、殺菌作用というより細菌のタンパク質合成の阻害し、増殖を抑える静菌作用や抗炎症作用が主な目的として使用されます。

 

ステロイド剤や免疫抑制剤などのように強い作用はなく、重い副作用の心配がありません。薬の量は通常の半分程度で、長期投与で効果を持続させます。

 

アレルギー性鼻炎合併症や気管支喘息合併症、または中鼻道が重度に閉鎖していたり大きい鼻茸がある場合では十分な効果が得られないため、他の治療法(鼻腔内洗浄やESS)と組み合わせる必要があります。

 

マクロライド療法 効果

鼻漏・後鼻漏の量と性質の改善する効果があります。特に過分泌タイプの慢性副鼻腔炎に対しての効果が優れます。

 

マクロライドの慢性副鼻腔炎に対する効果は抗菌作用ではなく、抗炎症作用や分泌抑制や活性酸素の生成抑制、サイトカインの分泌制御、原因菌のバイオフィルムの形成阻害などが挙げられます。

 

鼻茸に対しては縮小させる効果がありますが、消失するまでの効果はありません。鼻汁の量が減り、粘度も低下させ鼻をかみやすくなるので鼻閉(鼻づまり)改善の効果が望めます。

 

少量の長期間服用が基本

なぜ、少量の長期間服用が効果的かというと、マクロライド系抗生物質の本来の働きである静菌作用の他に、鼻汁を抑えたり、排膿に必要な綿毛運動機能を改善し、炎症を起こす物質の分泌を抑える働きがあるそうです。

 

長期のマクロライド療法に用いられる薬は、主に14員環マクロライドが使用されます。

 

膿性鼻漏が多いなど重症度の場合は、マクロライド療法開始時から数週間は通常の量を投与し、症状に応じて量を減らしていくこともあります。長期間服用する場合は原則として3ヶ月間目安に服用します。

 

マクロライド療法は鼻漏、鼻閉が改善させながら、鼻本来の生体機能を回復させることが目的です。

 

鼻茸がある場合、局所療法、薬物療法にて鼻茸の大きさを小さくし、手術によって鼻茸を切除します。術後もマクロライド療法を継続するのが一般的な治療となります。

 

スポンサード リンク


マクロライド療法で使用される薬

 
抗生物質製剤(マクロライド系抗菌薬)

 

アジスロマイシン

15員環マクロライド系抗菌薬であるアジスロマイシン2g単回投与製剤(ジスロマックSR)は成人の急性副鼻腔炎に対して高い有効性が示されており、急性副鼻腔炎診療ガイドラインにおいて治療薬として推奨されています。

 

経口懸濁液の徐放製剤であり、血清中半減期が長いために1回のみの服用で治療を完結できるため、非常に高い服薬コンプライアンスが得られます。成人の急性副鼻腔炎において、中等度の症状に対する第二選択薬、重症例に対する第一選択薬として位置づけられています。

 

エリスロマイシン

マクロライド系のうち14員環マクロライドに分類されます。細菌のたんぱく質の合成を阻害し、その増殖を抑えます(静菌作用)高濃度の場合は殺菌効果があります。。

 

副鼻腔炎の原因菌は、細菌やウイルス、真菌(カビ)など様々ですが、エリスロマイシンが有効なのは 主に細菌による感染症です。炎症を起こす病原菌が死滅すれば、腫れや発赤がおさまり、痛みがとれ、熱がある場合は解熱します。

 

多くの細菌に有効が認められており、呼吸器や耳鼻科領域を中心に各科で幅広く使用されています。細菌による二次感染時を防ぐ意味で、その予防のために用いられています。慢性副鼻腔炎の治療に用いられる場合は、静菌作用を目的として、少量の長期間服用します。

 

クラリスロマイシン

原因菌が生育するのに必要なたんぱく質ができるのを阻害する抗生物質です。病原微生物を死滅させるのでなく、増殖を抑える(静菌作用)ようにはたらきます。

 

ペニシリン、セフェム系抗生物質が使われるようになってから使用頻度が減ったお薬です。、ペニシリン、セフェム系抗生物質では効果が無い病原微生物も出てくるようになりましたが、その病原微生物によって生じた感染症の治療薬として価値が見直されています。

 

過敏症状のため、セフェム系抗生物質が使用できない場合の代替薬として用いられます。

 
スポンサード リンク
page top