副鼻腔炎 嗅覚障害

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副鼻腔炎の嗅覚障害

 

嗅覚障害とは?

嗅神経の図

日常で感じる「におい」がわからなくなったり、今までに感じたことのない鼻の内部からのにおいを感じる症状です。

 

嗅覚障害をきたす疾患の中で、慢性副鼻腔炎が占める割合は、4~5割を占めると言われています。

 

嗅覚障害には「呼吸性・末梢神経性・中枢神経性」と種類があります。

 

 

嗅覚障害の8割は呼吸性嗅覚障害で、主に副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎で多くみられます。
鼻腔内の状況によってにおいがしたり、しなかったりと変わります。

 

味覚にも影響がでる場合も

炎症が嗅粘膜自体に及ぶと「嗅粘膜性嗅覚障害」をおこし、嗅覚が著しく減退し、ほとんどにおいを感じ取れなくなる場合があります。「呼吸性嗅覚障害」と重なるケースが多く、味覚まで障害が及ぶことがあり、治療にも時間がかかります。

 

嗅覚障害の障害部位による分類

種類

障害部位

原因病

呼吸性 嗅粘膜のある鼻腔上部への気流障害 副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎・鼻中隔彎曲症
嗅上皮性 嗅粘膜自体に異常を認めるもの 感冒(風邪)罹患後・薬剤性
混合性 呼吸性・嗅上皮性の合併したもの 副鼻腔炎
嗅神経性 嗅神経の切断・変性などによるもの 頭部外傷
中枢性 嗅球や高位中枢の障害によるもの 頭部外傷・脳腫瘍・頭蓋内手術・アルツハイマー病など

 

副鼻腔炎の嗅覚障害はどうしておこるのか?

副鼻腔炎(蓄膿症)に伴う嗅覚障害は、鼻茸・嗅裂部付近の粘膜腫脹による気流通気障害が生じた結果、におい分子が嗅上皮まで到達しないため起こる呼吸性嗅覚障害が主です。

 

しかし、治療にて嗅上皮までの気流が改善したにも関わらず、嗅覚が十分に改善しない症例も存在します。慢性副鼻腔炎(蓄膿症)に対し内視鏡手術を行ったにも関わらず嗅覚障害が改善しない症例の検討では、静脈嗅覚検査でアリナミン臭を感じない症例、慢性副鼻腔炎の罹病期間が10年以上の長期間に及ぶ症例、異嗅症を合併する症例では嗅覚の予後が不良であることが確認されています。

 

副鼻腔炎 嗅覚障害を改善するには?

 
保存的治療

嗅覚障害の治療に関して、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)に対するマクロライド抗生剤の投与、アレルギー性鼻炎に対する抗アレルギー薬の処方など、原因疾患の治療が最も重要です。

 

嗅覚障害の保存的治療の中でもっともエビデンスの高いものは、副腎皮質ステロイドを用いた治療とされています。欧米では経口ステロイド薬を使用した治療が用いられ、比較的高い有効性が報告されています。

 

しかし、胃潰瘍・糖尿病・簡易感染など副作用のため、日本国内では点鼻ステロイドによる治療が広く行われています。これは、ステロイドの抗炎症作用によって鼻粘膜腫脹を軽減し、鼻茸(鼻ポリープ)を縮小させることで気流障害を改善する作用があります。

 

 

初期症状の場合はリンデロン液などのステロイド点鼻薬が有効です。ステロイド薬の点鼻や経口投与は唯一確立された嗅覚障害に対する薬物治療です。ステロイド薬の点鼻を行う前に血管収縮剤を点鼻しておくと、より高い効果が望めます。

 

副鼻腔炎 嗅覚障害

しかし、嗅粘膜の位置は鼻腔内の天井にあるため、頭部を下げる「懸垂頭位」(けんすいとうい)という状態でないと薬液が嗅粘膜に届きません。

 

処方された場合は医師から十分に指導をうけてください。

 

 

外科的治療

慢性副鼻腔炎(蓄膿症)に対して保存的治療が無効な症例や再燃悪化を繰り返す場合は、外科手術を行なう必要があります。蓄膿症のなかでも篩骨洞に病変が認められる症例では、嗅覚障害となる例が多く確認されています。

 

手術方法は嗅裂部への気流を確保することが目的となるため、中鼻甲介と鼻中隔の間を広げ中鼻甲介を外側へ偏位させた後、鼻中隔との間にシリコンを板を挟み込む方法や、前篩骨洞を開放後に上鼻甲介前方に位置する中鼻甲介粘膜と骨を除去し、中鼻道から上鼻甲介、嗅裂部への気道をつける方法などがあります。

 
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