副鼻腔炎(蓄膿症)に漢方薬
東洋医学では蓄膿症(慢性副鼻腔炎)になりやすい体質として、血行が悪く血液がドロドロ、冷え性、水分代謝が悪い方、また免疫力が弱く、虚弱体質の方が挙げられます。
漢方が副鼻腔炎治療に良いとされる理由
- 抗生剤を使用しないので、体内の善玉細菌に影響を与えない
- 花粉症などアレルギー性鼻炎にも効果が期待できる
- 薬による眠気やだるさ、口の乾きなどの副作用がなく、服用時間を厳守する必要がない
副鼻腔炎に効く漢方の種類
辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)
辛夷(シンイ)山梔子(サンシシ)知母(チモ)百合(ビャクゴウ)枇杷葉(ビワヨウ)升麻(ショウマ)麦門冬(バクモンドウ)石膏(セッコウ)黄ごん(オウゴン)。以上の生薬からなる漢方薬です。
辛夷は炎症を抑え鼻閉(鼻詰まり)を改善する効果があります。
葛根湯加川キュウ辛夷((カッコントウカセンキュウシンイ)
葛根(カッコン)大棗(タイソウ)辛夷(シンイ)桂皮(ケイヒ)生姜(ショウキョウ)芍薬(シャクヤク)麻黄(マオウ)甘草(カンゾウ)川きゅう(センキュウ)。以上の生薬からなる漢方薬です。
麻黄は血管収縮剤と同じ効果で鼻粘膜の炎症を鎮め、芍薬は頭痛などの和らげる鎮痛の効果があります。
荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)
桔梗(キキョウ)枳実(キジツ)荊芥(ケイガイ)柴胡(サイコ)山梔子(サンシシ)地黄(ジオウ)芍薬(シャクヤク)川きゅう(センキュウ)当帰(トウキ)薄荷(ハッカ)白し(ビャクシ)防風(ボウフウ)連翹(レンギョウ)甘草(カンゾウ)黄ごん(オウゴン)黄柏(オウバク)黄連(オウレン)。以上の生薬からなる漢方薬です。
痰や膿を排出、解熱効果、抗炎症作用、血行促進など副鼻腔炎の症状に対して高い効果が期待できます。
小青竜湯(ショウセイリュウトウ)
麻黄(マオウ)桂皮(ケイヒ)芍薬(シャクヤク)半夏(ハンゲ)五味子(ゴミシ)細辛(サイシン)乾姜(カンキョウ)甘草(カンゾウ)。以上の生薬からなる漢方薬です。
鼻炎、アレルギー性鼻炎、花粉症、気管支喘息の症状緩和に効果があります。病院でも処方される機会が多い漢方薬です。
小柴胡湯(しょうさいことう)
柴胡(サイコ)黄ごん(オウゴン)半夏(ハンゲ)人参(ニンジン)甘草(カンゾウ)生姜(ショウキョウ)大棗(タイソウ)。以上の生薬からなる漢方薬です。
柴胡と黄ごんの組み合わせで高い抗炎症作用があり、甘草は痛みを緩和させる効果があります。小柴胡湯は病院で多く処方される漢方薬で、乾燥エキス剤で処方されるのがほとんどです。
排膿散及湯(ハイノウサンキュウトウ)
桔梗(キキョウ)枳実(キジツ)芍薬(シャクヤク)大棗(タイソウ)生姜(ショウキョウ)甘草(カンゾウ)。以上の生薬からなる漢方薬です。
主薬となる「桔梗」には排膿効果があり、枳実、甘草、芍薬は炎症と痛みを鎮める効果があります。
漢方薬の注意点
ウェブの様々なQ&Aサイトにて、組み合わせ悪く漢方薬を処方された結果、副作用を起こすという書き込みが多く見当たります。
副鼻腔炎の頭痛の症状が酷く、内科にかかった所、処方された漢方薬が「柴胡桂枝乾姜湯」と「辛夷清肺湯」の2つでした。飲み始めた頃から息苦しさが時々あらわれるようになり、腕のピリピリ感がでる頻度や長さも格段に増したのですが、こんなに早くから副作用ばかりが出るものなのでしょうか?女性(28才)
Yahoo! Q&Aより
上記の処方は、漢方薬を知っている方ならありえない組み合わせであり、薬に例えるなら「血圧をあげる薬」と「血圧をさげる薬」を処方されたようなものです。また、体質に合わないものが漢方薬に入っていれば副作用も起こり得ます。例えば食物アレルギーです。
漢方薬の組み合わせや食べ合わせ
他の漢方薬や西洋薬との飲み合わせが問題がないという間違った見識が多く、実際は他の薬の効果に影響し、悪い作用を及ぼす可能性があります。特に同じ効能を持つ薬の重複は禁忌(きんき)とされています。
例として、甘草は漢方方剤の多くに含まれていますが、重複して漢方方剤を服用したことによって「偽アルドステロン症」を起こしやすくなります。
症状を伝えて、あなたに適した漢方薬を処方してもらえれば何も問題ありませんが、不安であればウェブ上にある漢方薬の専門サイトに問い合わせてみましょう。