副鼻腔炎 内視鏡手術とは

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内視鏡鼻内副鼻腔手術

 
内視鏡下鼻内副鼻腔手術「ESS」(Endoscopic Sinus Surgery)

副鼻腔炎 内視鏡手術

1980年に医療機関に導入され、1990年代以降に普及してきた手術で、現在では副鼻腔炎手術の標準術式です。

 

内視鏡を鼻腔内に入れ、カメラでとらえた鮮明な映像をテレビモニターで確認しながら、副鼻腔の炎症を伴った病的な粘膜や鼻茸などを鉗子や吸引具を使用して切除していく手術です。

 

内視鏡手術の特徴と目的

副鼻腔炎の治療には、排膿と換気が必要不可欠です。それを妨げている鼻腔内の腫れた粘膜や鼻茸を切除します。

 

薬物療法、局所療法で改善が認められなかった場合や、診断時から重い症状の方におこなわれます。

 

従来の「根本療法」に比べると痛みや出血が少ない上、体への負担も軽く、術後の後遺症発症率も極めて低いですが、この手術で副鼻腔炎が完治するわけではありません。

 

手術後も鼻の中の炎症は残っていますので、残った炎症を鼻腔内洗浄や抗菌剤(ネブライザー)で治療していきます。術後も治療が続くので、完治するまでに時間がかかります。

 

耳鼻科医さんのお話では、手術が6割、手術後の治療が4割と言われています。

 

あくまで換気と排膿を促進させる環境を整える手術と考えてください。

 

年齢別の内視鏡手術の適応

 
子供の副鼻腔炎に内視鏡手術は可能?

子供の副鼻腔は発育途上で、成長とともに大きくなっていくため子供の副鼻腔炎の治療は、薬物療法による保存的治療が基本となります。

 

鼻茸(鼻ポリープ)があり重症度の場合には内視鏡術が用いられる場合があります。

 

Polypotomy

10歳未満の子供に行なう鼻茸の手術です。副鼻腔には操作をくわえません。鼻腔通気の改善、鼻漏の軽減、嗅覚障害の改善が期待できます。

 

Modified ESS

10歳以上の症例に行われる内視鏡手術です。中鼻道自然口の拡大、前篩骨洞、上顎洞模様部、鼻前頭管を開放して副鼻腔の換気と排膿の改善が期待できます。

 

ESS

13歳以上の症例、あるいは高度病変例におこなわれる手術です。成人に行われるESSと同様に後篩骨洞まで手術操作を加え、上顎洞模様部、鼻前頭管を開放し、洞の換気と排膿につとめます。

 

年齢と内視鏡手術の適応との関係は、あくまで原則的なものです。子供の成長や発育は個人差が大きく、13歳未満でも十分に体が発育している例もあれば、13歳以上でも手術をしないほうがよい例もあります。

 

年齢だけを判断基準にせず、担当医とよく話し合い治療方針を決めましょう。また、子供は学校もあるので、手術後はプールに入るなどを控えなければならないので、担任の先生にもその旨を伝えましょう。

 

内視鏡手術の成績

 

慢性副鼻腔炎(蓄膿症)に対する内視鏡手術の成績をまとめました。

 

下の図は、内視鏡手術後に副鼻腔炎の症状である「鼻閉・頭重感・鼻漏・後鼻漏」がどう変化したのかまとめてあります。

 

内視鏡下鼻腔整復術の術後成績

内視鏡手術での症状改善度

※東京慈恵会医科大学 森山 寛教授らによるデータ

 

いずれの症状も80%~90%で著明改善、つまり非常に良く改善したと答えています。「軽度改善」は10%程で、「不変」はほとんどありません。手術前に比べ手術後はほとんどの症例で良くなっています。

 

内視鏡手術でも治りにくい副鼻腔炎

副鼻腔炎は「従来型・アレルギー型」と分かれ、アレルギー型も「鼻アレルギー性副鼻腔炎」と「喘息合併副鼻腔炎」とあります。

 

この中で、「喘息合併副鼻腔炎(好酸球性副鼻腔炎)」は治りがよくない例が多く、再発の可能性が高いタイプの副鼻腔炎です。

 

内視鏡手術から1年経過後の上顎洞所見の比較

副鼻腔炎内視鏡手術後の上顎洞所見比較

従来型の慢性副鼻腔炎の場合は95%の人が「良好」と「やや良好」を占めています。また、花粉症などの鼻アレルギーを合併した慢性副鼻腔炎も経過は良好が多くを占めています。

 

一方の喘息合併型の慢性副鼻腔炎は治りが非常に悪く、良好とやや良好を合わせて6割り程度です。喘息合併副鼻腔炎の場合は再発の可能性が高いので、手術後も通院が必要です。

 

手術=根治ではありません。しかし術後は、いままでと比べ物にならないくらい鼻の調子が良くなった事は「鼻アレルギー合併型」の管理人も身をもって経験しました。

 

 

手術をしないで蓄膿症を改善するには?

 
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